MSX総選挙と私のMSXパソコン遍歴(本体編)
先月行われていたMSXパソコンとMSXゲームの人気投票「MSX総選挙」に、一応現役MSXユーザーの私も投票させてもらっていました。
「MSX総選挙」では投票と共に、投票理由を記入する欄があったのですが、リアルではもちろんネットの中ですらコミュ障な私は、投票理由の文章が咄嗟に思いつきませんでしたm(_ _)m
そこで遅くなりすぎてしまったのですが、投票したMSX本体と、そのMSXに対する個人的な思い出話しを、ここで書き連ねたいと思います。
思い出が爆発しすぎてなかなか文章にまとまりませんが、長文になりすぎないように適度に端折りつつ行ってみます。
本文中に出てくるセリフはうろ覚え&文体は創作なので、半分フィクションだと思ってご覧ください(^ ^;
投票したMSX本体1「MX-101(カシオ) 」1986年発売
私は小学校高学年ぐらいから漠然とパソコンに興味を持っていたんですが、電気屋で見かけるパソコンは安いものでも10万円台、高いものだと数十万。そのうえ当時は非常に高価だったパソコン専用ディスプレイも必要ということで、とても手の届く物ではありませんでした。
ところがある日ふと立ち寄った当時の田舎としては大きな電気屋のパソコン売り場で、飛び抜けて安いパソコンが売られているのを発見!それがカシオのMX-101(あるいはMX-10だったかもしれません)でした。
具体的な販売価格はさすがに忘れましたが、パソコンを完全にあきらめていた自分の目の前が急に明るく開けた瞬間です。
コンパクトなボディながらちゃんとBASICの画面が立ち上がってプログラムが動き、しかもファミコンみたいに家のテレビに繋いで使える!ということで完全にコレを買う気になっていたんですが、小学生の頃からMSXを使いこなしていたらしい凄いクラスメイトから
「ソレを買うのは止めておけ。今はMSX1じゃなくMSX2の時代なんだ」
的な事を言われ、結局踏みとどまりました…
ちなみに、その「当時の田舎としては大きな電気屋のパソコン売り場」はナイコン族(パソコンが欲しいけどパソコンを持ってない人)とナイコン族にパソコンを布教しようとするパソコン保有者のちょっとしたたまり場になっていて、その電気屋の隣にある「当時の田舎としては大きな本屋」でパソコン雑誌(MSX・FANとかベーマガとか)を買ってきて、それに載っている読者投稿のゲームプログラムを展示品のパソコンに打ち込んでは、その電気屋で買ったフロッピーディスクにセーブするのが一連のルーティーンだったようです。
さすがに私はそこまでの気力と体力はないので、後ろからギャラリーさせてもらってました。(当時はそれだけでも十分ワクワクしました)
当時は非常に高価だったフロッピーディスクドライブが憧れの的でした。
投票したMSX本体2「FS-5000F2(松下電器) 」1986年発売
私が通っていた中学に置いてあったパソコンがコレでした。
セパレートタイプのキーボードを備えるMSX2パソコン。
3.5インチFDD2基に128KBのメインメモリを搭載、直線基調の端正なフロントフェイスの黒い筐体が高級感を放ちまくっていました。
ちなみに高校では、MSXではなくNECのPC-98が大量に置いてあり(機種はPC-9801VXとかPC-9801VMとかだったと思います)、教師から
「君はパソコンを持っているのかね?」的な事を聞かれたので、「MSXを持ってる」と答えると、
「はぁ?MSX??そんなの使い物にならんでしょ?」
的な事を言われ、ショックというか、当時の私には先生の言ってる意味が分からず、唖然としてしまった思い出が…(^ ^;
投票したMSX本体3「FS-A1F(松下電器) 」1987年発売
カシオの激安パソコンの衝撃からまたしばらく月日が流れたある日、パナソニックのA1FというMSX2パソコンを中古で譲ってもらえるチャンスが到来しました。
ほんの少し前まで憧れの的だったFDDを、コンパクトなキーボード一体型ボディーにしれっと内蔵した、当時の私にとっては夢のようなマシンでした。
しかし購入直前のタイミングで「MSX2+が出たぞ!」という話題を耳にしました。
周りの人たち曰く
「新しいMSXが出たけど値段が高い割にMSX2と大して変わらないよね?MSX2+いらないよね?」
的な評価だったんですが、MSX2買いかけの私としては「本当にそうなの??」と疑問が沸き、MSX2+についてリサーチすべく、例の「当時の田舎としては大きな本屋」で「MSXマガジン」を買ってきました。
その結果
「自然画モードにスムーズスクロール、日本語入力にFM音源、MSX2+。MSX2と全然違うやん!全然スゴイやん!」
となり、結局中古のA1F購入をキャンセルすることに…
↑その時買ったMSXマガジン1988年11月号。読みすぎて表紙も取れボロボロになってしまってます…
驚くべきことに、MSXマガジンは現在「アカシックライブラリー」というサイトで、全号電子書籍化され無料で読めます(感謝)
投票したMSX本体4「FS-A1WX(松下電器) 」1988年発売
そうは言っても中古のA1Fと出たばかりのMSX2+とでは、値段が全然違い予算がまるで足りません。
ところがパナソニックのMSX2+機の「A1WX」は、ワープロソフトを内蔵しているので、パソコンではなくワープロだったら親にねだって買って貰えるんじゃないかという希望が湧いてきました。
「これがあれば年賀状とかの印刷物を家で作れるようになってお得だから!」
みたいなことを言って(ワープロとして使うには別途プリンターも必要になることは深く触れず)、親に買って貰いました(^ ^;
そのような事情で私はパナソニック一択だったんですが、同世代のソニーのMSX2+機「F1XDJ」にも非常に後ろ髪を引かれてました。
ちなみにパナソニックのMSX2+には隠された特徴があって、MSX標準のCPU動作クロック周波数3.58MHzの1.5倍速(5.37MHz)のオーバークロックモードを備えています。
MSXが搭載するCPUのZ80Aは、最大クロックが4MHzなので、どうやってオーバークロックモードを実現しているのか、当時ちょっとしたミステリーとなっていました。
割と最近になって、ウェイト回路を追加することで、更に倍の10.74MHzにまでオーバークロックする「改造手法」をネットで見かけて衝撃を受けました。
最初からこの仕様で出ていたらMSX2+なんて中途半端なネーミングにしなくても、十分MSX3を名乗れたような…
投票したMSX本体5「FS-A1GT(松下電器) 」1991年発売
言わずと知れたMSXの最後のモデル「Panasonic FS-A1GT」
16bitCPUのR800に、GUI、MIDIインターフェース、FM音源、PCM音源、ワープロソフトまで内蔵したドリームマシン。
MSXとは縁もゆかりもなかった筈の私の当時の友人がいきなりコレを購入してビックリしました。(羨ましかった)
MSXturboR最大の進化ポイントのCPU「R800」は、これまでのMSXが搭載していたZ80に対して、動作クロックが2倍、クロック当たりの性能は4倍、更に新設命令もあるので、5~20倍の高速化を果たしているといわれます。
MSXより遥かに値段の高い当時の他社製16bitパソコンを打ち負かしてしまうほどのベンチマーク結果を誇ったらしいですが、グラフィック回りがMSX2+時代のものをそのまま引き継いでいるので、画面表示を伴うベンチマークテストではスコアが大幅ダウンしてしまうという弱点も…
MSXturboRの2世代目として誕生したA1GTですが、この頃は既に一時期のMSXフィーバーはすっかり鳴りを潜め、当時国民機と呼ばれ売れに売れまくっていたNECのPC-98ユーザーの友人からは「動く化石」等と揶揄されたりする、MSXユーザー受難?の時代でもありました(^ ^;
それはさておき、時代が移り変わっても私にとっては憧れのマシンの「A1GT」。いつか余裕ができたら中古をヤフオクでゲットしたいと思ってましたが、気付けばとんでもないプレミア価格に(汗)
投票したMSX本体6「HB-F1XDmkII(ソニー) 」1988年発売
MSX2+時代に販売されていた遅れてやって来たMSX2パソコン。
後々考えてみるとソニーのこのマシンは、MSX史の中で非常に重要な1台だったんじゃないかと思うようになりました。
総選挙でも1位を獲得したパナソニックの初代A1に代表されるような低価格MSX2機の登場で、一気に市民権を得たMSXパソコンですが、次のステップとして、FDDの普及率を高める事が急務だったと思います。
FDD内蔵機をいかに低価格化するかにチャレンジしていた、ソニーのこの1台を個人的に推したいです。
フロッピーディスクのメリットを感じやすいように、ゲーマーだけじゃなく、ゲームクリエイター向けの販売プロモーションが行われていたのもポイントが高いです。
一方で、MSX自体は、2+、turboRと、価格が高まる方向に向かっていたので、ソニーとしては活路を見いだせず厳しい状況だったのか、turboRは出さずに撤退。パナソニック1社のみのお寒い状態になってしまいました。